- いきる
- I
いきる【射切る】(1)すべての矢を射尽くす。(2)矢で射て物を切り放つ。II
「扇のかなめぎは一寸ばかりを射て, ひふつとぞ~・つたる/平家 11」
いきる【熱る・熅る】(1)熱気を帯びる。「七つの病を除くといふは…熱く~・ることを除くと/三宝絵詞(下)」
(2)息まく。 勢い込む。III「取出し下さりませとぞ~・りける/浄瑠璃・氷の朔日(上)」
いきる【生きる】(1)人・動物などが命を保つ。 生存する。⇔ 死ぬ「百歳まで~・きるつもりでいる」「羊は牧草だけを食べて~・きている」(2)生活する。 暮らす。 文学的な表現として, 「…に生きる」「…を生きる」の形で, 生活の場所・場面・時間を示すこともある。「常に前途に希望を抱いて~・きる」「当時は女が一人で~・きてゆくのは大変だった」「彼は海に~・き, 海に死んだ」
(3)(「命を生きる」など, 命を表す語を目的語として)一生を送る。 やや文学的表現。「限られた命を精いっぱい~・きる」「一生を貧しい人たちのために~・きた」
(4)(「…に生きる」の形で)そこに生きがいを見いだして暮らす。「芸一筋に~・きる」
(5)死んだ者, 失われたものの名残や影響が残る。「死んだ夫はまだ私の心の中に~・きている」「先代社長の経営哲学は今なお~・きている」
(6)(「活きる」とも書く)そのものがもっている本来の機能・能力が発揮される。 有効に働く。⇔ 死ぬ「一〇〇年前の条約がまだ~・きている」「ちょっとした塩加減で料理の味が~・きる」(7)(普通「活きる」と書く)囲碁で, 一連の石が二つ以上の独立した目をもつ。⇔ 死ぬ「隅の黒石は~・きている」(8)野球で, 塁に出た選手がアウトにならずにすむ。⇔ 死ぬ「サードのエラーで~・きた」〔上代・平安時代は四段活用。 中世以降, 次第に上二段活用になった〕生きた心地(ココチ)もしない生きているような気がしなくなるほど, 恐ろしい, または苦しい。生きた空もない「生きた心地もしない」に同じ。
Japanese explanatory dictionaries. 2013.